外国人雇用シリーズ:第1回 雇うとき/第2回 給与と手続き/第3回 退職・帰国するとき
人手不足が深刻になるなか、外国人の雇用を検討する地方の会社が増えています。日本人を雇うときと同じ部分と、違う部分がある。違う部分の中心は、雇う前の確認と、雇った後の届出です。この記事では、国の資料に書かれていることを整理します。
※この記事は2026年11月時点の公表資料に基づいています。制度は改正されるため、実際の手続きの前に各機関の最新情報をご確認ください。
1. 雇う前に、在留カードを確認する
日本に中長期間滞在する外国人には、在留カードが交付されています。雇う前に、必ず本人のカードを確認します。
表面の「就労制限の有無」欄を見る
出入国在留管理庁のリーフレットによると、この欄の表示は次のように読みます。
- 「就労制限なし」——就労内容に制限はありません
- 「在留資格に基づく就労活動のみ可」——その在留資格で認められた範囲の仕事に限られます。在留資格が「特定技能」の場合は、あわせて指定書も確認します
- 「指定書により指定された就労活動のみ可」——パスポートに添付された指定書で、できる仕事が決まっています
- 「就労不可」——原則として雇用できません。ただし、次の資格外活動許可を確認してください
裏面の「資格外活動許可欄」を見る
「就労不可」の場合でも、資格外活動の許可が記載されていれば、その範囲で働けることがあります。記載例は「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く。)」です。
アルバイト先が複数ある場合は、合計で週28時間以内である必要があります。他社での勤務時間も確認してください。
なお、令和8年6月から交付が始まった特定在留カード(マイナンバーカードと一体になったカード)では、資格外活動許可欄が表面にあり、記載の文言も異なります。カードの種類に応じて確認する欄が変わる点に注意が必要です。
カードが本物かを確認する
- 出入国在留管理庁の「在留カード等番号失効情報照会」で、番号が失効していないかを確認できます。ただし、照会の結果は在留カード自体の有効性を証明するものではないとされています
- 「在留カード等読取アプリケーション」で、カードのICチップに記録された情報と券面の記載を見比べることができます
- 偽変造が疑われる場合は、最寄りの地方出入国在留管理官署に相談します
2. 確認を怠ると、雇った側が罰せられる
就労が認められていない外国人を働かせると、不法就労助長罪の対象になります。
- 現行の罰則は、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその併科です
- 不法就労者であることを知らなかった場合でも、在留カードを確認していないなどの過失があれば、処罰を免れないとされています
- 不法就労させた事業主が外国人である場合は、退去強制の対象になります
さらに、令和6年に公布された改正法により、令和9年(2027年)4月1日から、罰則は5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその併科に引き上げられます。
「知らなかった」では済みません。在留カードの確認は、雇う側が必ず行うべきことです。
3. 採用時に守るルール
厚生労働省は、外国人を雇用する事業主が守るべきルールを示しています。
- 労働関係法令および社会保険関係法令は、国籍にかかわらず適用される。事業主はこれらを遵守すること
- 求人の申込みにあたって、国籍による条件を付すなど差別的取扱いをしないこと
- 採用前に在留資格を確認し、従事することが認められない者については、採用してはならないこと
- 労働条件は書面等で明示する。その際、母国語等により外国人が理解できる方法で明示するよう努めること
労働条件通知書は、日本語で渡して終わりにしないほうがよい、ということです。
4. 雇ったら、ハローワークに届け出る
外国人を雇い入れたとき、離職したときは、外国人雇用状況の届出が義務です。根拠は労働施策総合推進法(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)です。
対象
外国人労働者全員です。ただし、在留資格「外交」「公用」の人と、特別永住者は除きます。
雇用保険に加入する人の場合
- 「雇用保険被保険者資格取得届」を提出すれば、外国人雇用状況の届出をしたことになります。期限は雇入れの翌月10日まで
- 離職時は「資格喪失届」。期限は離職の翌日から起算して10日以内
雇用保険に加入しない人の場合
- 「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」を提出します
- 期限は、雇入れ・離職とも翌月末日まで
- 令和9年4月1日からは、厚生労働省のページで示されている新しい様式を使います
届出に必要な情報
届出には在留カード番号の記載が必要です。在留カードの提示を受けて内容を確認します。写しの添付は不要です。
怠った場合
届出を怠った場合や虚偽の届出をした場合は、30万円以下の罰金の対象です。
雇用保険・社会保険・住民税・所得税など、雇った後の給与まわりの扱いは第2回で整理しています。
5. 出入国在留管理庁への届出は、原則として重複しない
会社には、中長期在留者の受入れの開始・終了を出入国在留管理庁に届け出る「所属機関による届出」という制度もあります。期限は事由が生じた日から14日以内です。
ただし、外国人雇用状況の届出が義務付けられている会社は、その届出を提出すれば、入管への所属機関による届出は不要とされています。ハローワークへの届出を正しく行えば、原則として二重に出す必要はありません。
例外として、特定技能の外国人を受け入れる会社は、特定技能所属機関として、入管への届出が別に義務付けられています。こちらは届け出なかった場合の罰則もあります。
6. 本人にも届出の義務がある
雇われる外国人本人にも、届出の義務があります。「技術・人文知識・国際業務」「技能」「特定技能」などの在留資格の人は、契約先との契約の終了や新たな契約の締結、契約先の名称・所在地の変更や消滅があった場合、事由が生じた日から14日以内に、出入国在留管理庁へ「所属機関等に関する届出」を行う必要があります。
届出をしなかった場合は罰則(20万円以下の罰金)の対象になるほか、在留諸申請で不利になる場合があるとされています。本人の義務ですが、会社が「届出が必要です」と伝えておくだけで、本人が不利益を受けることを防げます。
7. 制度は、大きく変わる途中にある
技能実習制度に代わる育成就労制度が、令和9年(2027年)4月1日から運用開始されます。
- 目的は「我が国の人手不足分野における人材の育成・確保」。技能移転による国際貢献を目的としていた技能実習とは、目的そのものが変わります
- 育成就労の期間は3年以内
- 特定技能1号の水準の技能を持つ人材を育てることが想定されています。育成就労から特定技能1号、特定技能2号へと進む流れです
- 在留できる期間は、特定技能1号が5年間、特定技能2号は制限なしです
技能実習の経過措置
- 施行日の時点で技能実習を行っている人は、引き続き技能実習を行えます
- 施行日前(令和9年3月31日まで)に技能実習計画の認定を申請し、令和9年6月30日までに実習を始めるものは、施行日以降も受け入れられる場合があります。施行日以降は、技能実習計画の認定申請はできません
- 施行日以降も1号から2号への移行はできます。3号への移行は、施行日の時点で2号を1年以上行っている人に限られます
いま技能実習生を受け入れている会社も、これから検討する会社も、2027年4月を境に制度の前提が変わることを押さえておく必要があります。
8. 相談できる場所
- 外国人雇用管理アドバイザー——都道府県労働局やハローワークを通じて、外国人の雇用管理について無料で相談できます
- 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)——外国人労働者の就労環境の整備に取り組む事業主向けの助成金です
- 外国人在留総合インフォメーションセンター——入国や在留の手続きに関する問い合わせ先です
会計士として、こんなお手伝いをしています
外国人雇用には、入管の手続きと労務管理の両面があります。在留資格の申請手続きは行政書士、労務の手続きは社会保険労務士の業務です。当事務所は提携する行政書士・社会保険労務士と組み、その前後にある数字の部分を担当します。
- 雇用コストの試算——給与だけでなく、社会保険料、住居や通訳の費用、監理・支援にかかる費用まで含めた総額を見える化します
- 受入れ方式の比較——育成就労・特定技能・その他の在留資格で、費用と期間がどう違うかを並べて比較します
- 助成金を含めた資金計画——助成金のスケジュールと資金繰りを組み合わせます
- 専門家との連携——提携する行政書士・社会保険労務士と組んで、手続きと数字を一体で進めます
人を雇うのは、投資です。何年で、いくらかけて、どう回収するのか。その設計を、数字の面からお手伝いします。
まとめ
- 雇う前に、在留カードの「就労制限の有無」と「資格外活動許可欄」を必ず確認する。特定在留カードは欄の位置と文言が違う
- 確認を怠って不法就労させると、知らなかったでは済まない。現行は3年以下・300万円以下、令和9年4月1日からは5年以下・500万円以下
- 労働法令・社会保険法令は国籍にかかわらず適用。労働条件は母国語等で理解できる方法で明示するよう努める
- 雇い入れたらハローワークへ外国人雇用状況の届出。雇用保険加入者は翌月10日まで、非加入者は翌月末日まで。怠ると30万円以下の罰金
- 特定技能の外国人を受け入れる場合は、入管への届出が別に必要
- 令和9年4月から育成就労制度が始まる。技能実習には経過措置がある
出典
いずれも公的機関の資料です(2026年11月3日にリンク先を確認)。